事例一覧
「気になる」「なんとかしたい」をきっかけにした取り組みをまとめました。採用・育成・制度・働き方… それぞれの現場で試され、形になった“ちょうどいい工夫”。貴社でもすぐに取り入れられるヒントが、きっと見つかるはずです。
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「気になる」「なんとかしたい」をきっかけにした取り組みをまとめました。採用・育成・制度・働き方… それぞれの現場で試され、形になった“ちょうどいい工夫”。貴社でもすぐに取り入れられるヒントが、きっと見つかるはずです。
事例
物流業を営むA社では、現場の人手不足が慢性化しており、「まずは数を確保しよう」という姿勢で面接が行われていました。面接官は、「印象が良かった」「盛り上がった」といった感覚的な判断で合否を決めてしまい、結果としてミスマッチによる早期離職が相次いでいました。
この状況を受けて、まず経営者や拠点責任者へのヒアリングを実施。会社として本当に求めている人物像を言語化し、それをもとに見極めポイント・質問例・評価の観点を整理しました。さらに面接官向けにミニ勉強会も開催し、「話し上手=採用」ではなく、「どのような中身を評価するか」という視点を育てていきました。
導入後は、成長意欲や柔軟性など、明確な基準に基づく面接が定着し、合否の判断に対する納得感も社内で共有されるように。採用が単なる印象ではなく、“基準で選考する場”として機能し始めた手応えのある取り組みでした。
工事業のB社では、苦労して採用した社員が数ヶ月で辞める事態が続いていました。入社時の導入研修は整っていたものの、その後のフォローが自然消滅しており、社員が不安や不満を誰にも相談できないまま離職するケースが多かったのです。
そこで、入社から1か月・3か月・6か月と節目ごとに振り返り面談を正式に設定。直属の上司と人事がペアで対応し、「できるようになったこと」「困っていること」を対話形式で共有できるようにしました。面談では評価ではなく“対話”を重視し、必要に応じて業務内容や支援の仕方も見直せる柔軟な体制を整備。同時期入社の社員同士が参加する「半年後のふりかえり会」も実施し、社内に“仲間がいる”という安心感も醸成しました。
継続的なフォローで入社後の不安が早期に解消され、離職率の改善にもつながっています。オンボーディングが社員定着に大きく影響することを示す事例となりました。
製造業C社では、「昇給の基準がわからない」「給与の決まり方が不透明」といった声が社員から上がっていました。ただし、制度そのものを見直すにはコストや時間もかかり、すぐの改定は現実的ではありませんでした。
そこでまず行ったのは、現行制度の“棚卸し”。評価項目ごとのウェイトや、ランクごとの昇給イメージを簡潔にまとめ、チャートや図で説明しやすい資料を作成しました。それをもとに、評価面談用のシートや、上司向けのフィードバック研修もあわせて実施。「制度をどう運用するか」「どう伝えるか」に焦点を当てた取り組みです。
結果として、「何が評価されているのか」「どうすれば上がるのか」が伝わるようになり、社員の納得感が大きく改善。「不満がある=制度が悪い」ではなく、丁寧に説明をすることで理解が深めていくという、地道な改善が制度を機能させることを実感した事例となりました。
卸売業D社では、評価に対する社員の不信感が根強く、「誰が何を基準に評価しているのか分からない」という声が社内に広がっていました。実際、評価はベテラン社員の評判など、曖昧な印象ベースで行われており、仕組みとしての公正さに欠ける状態でした。
まず取り組んだのは、経営者への説明と理解のすり合わせ。「評価基準を明確にすることで何が変わるか」を丁寧に共有し、不信感が組織に与える影響を話し合いました。納得を得たうえで、評価の観点や基準を言語化し、それをもとに全社員向けの研修を実施。評価の説明だけでなく、期待される行動や成果の具体例も交えて共有しました。
また、評価と給与のつながりも簡単なフローにして示すことで、「なんとなく決まる」印象を払拭。社員からは、「ちゃんと考えてくれているのが伝わった」との声も聞かれるようになり、評価が「人材育成とモチベーション維持につながり始めた取り組みでした。
老舗卸売業のE社では、役職者の多くがマネジメントを任されていながら、個人プレーに終始しがちで、部門としての方針や目標がほとんど共有されていませんでした。その結果、若手社員が戸惑い、組織としての一体感も生まれにくい状況が続いていました。
まずは経営者も巻き込んで、「組織で動くとはどういうことか」を考える勉強会を実施。部門の方針や計画を立てるためのフレームワークを紹介し、共通フォーマットも用意しました。加えて、管理職一人ひとりに現場で感じている戸惑いや悩みをヒアリング。「何をどう伝えればよいのか分からない」といった本音を受け止めつつ、リーダーシップやコミュニケーションに関するセミナーも行いました。
取り組みを重ねるうちに、各部門で方針を言語化し、それに基づいたマネジメントが少しずつ機能し始めました。「自分だけで頑張る」から、「部門としてどう動くか」を考える土壌が育ち始めた事例です。
外食業F社では、明らかにルールを守っていない若手社員がいても、誰も注意できない空気が蔓延していました。現場の管理職は「最近の子は注意するとすぐ辞めるから…」と口をそろえ、組織全体も“何も言わずに静観する”状態に。
この状況を変えるべく、まずは現場リーダーと一緒にその若手社員の行動を整理。「どんな言動がどんな影響を与えているのか」を一緒に言語化しました。その上で、どう伝えると受け止められやすいか、注意後にどうフォローすべきかを一緒に考え、声かけのタイミングや言葉選びも具体的に計画しました。
結果、当の本人は素直に改善の意志を見せ、リーダー自身も「ちゃんと向き合えば伝わるんですね」と実感。注意すること=否定ではなく、本人の成長を信じることでもある。そんな気づきが生まれ、現場が少しずつ動き始めた事例です。
製造業G社では、入社10年前後の中堅社員に元気がなく、「やる気の波がある」「将来が見えない」といった声が上司からも本人たちからも出ていました。上司は「そろそろ次の役割を」と期待する一方、本人たちは「これからどうなりたいのか」と問われてもピンとこない――そんな“立場の違い”が、日々のモヤモヤとして表れていました。
そこでまずは、将来に向けた高い目標を設定するのではなく、「もっと上手くやれるとしたら?」といった日常的な問いかけから始める面談を提案。小さな改善や目標を一緒に考える形にしました。目指す姿も“管理職型”だけではなく、“支援型”や“職人型”など、個々のスタイルを尊重する方針に切り替えました。上司に対しても、「違いを活かすマネジメント」の意識づけを行いました。
結果、「この働き方でもいいんだと思えた」「何を伸ばしたいか考えるようになった」といった声が中堅社員からも上がり始めました。
この取り組みを通じて、意欲を引き出す支援とは、“上を目指させる”ことだけではなく、“その人らしい一歩”を後押しすることなのだと気づかされました。
物流業を営むH社に届いたのは、突然辞めた社員からのハラスメント申告。確認すると、マネージャーが部下に対して暴言を繰り返していたことが判明しました。背景には、数字最優先の風土の中で管理職が追い詰められていた現実がありました。相談できる場もなく、社員が突然辞めていくということが続いていたのです。
会社としてまず行ったのは、社外に相談窓口を設置し、社員に「話せる場がある」ことを明確に示すこと。そして、管理職向けのハラスメント研修を定期化し、「やってはいけないこと」にとどまらず、「どうすればいいか」までを扱う実践的な内容に。また、マネージャー自身が抱えている悩みや葛藤にも寄り添う個別相談の仕組みも導入しました。
こうした取り組みを重ねる中で、「何かあっても相談できる」という空気が少しずつ職場に広がりはじめました。健全な職場づくりには、指導する側・支える側の両方への支援が必要なのだと、あらためて実感した事例です。
複数店舗を展開する飲食業I社では、パートスタッフとのトラブルが発生するたびに現場が場当たり的に対応し、最終的に本社へ駆け込むという事態が繰り返されていました。「このままだと、いずれ大きな問題になる」——そうした危機感から、体制の見直しに着手しました。
まずは、トラブル対応の“入口”を整理。「誰が・どこに・何を相談するのか」を明確にし、各店舗への周知を徹底しました。その上で、店長や現場責任者に対して「初期対応のスピードが命」と伝える研修を実施。あわせて、顧問社労士や弁護士と連携して、判断基準や初動のフローをマニュアル化し、実際の事例を定期的に店長会議で共有する仕組みもつくりました。
導入後は、「最近トラブル減ったよね」という声も聞かれるように。本社への相談件数も月10件から5件程度に減少し、“予防できる現場”が育ちつつあります。トラブルは防げる——その意識が広がり始めた事例です。
物流業J社では、中堅社員を“管理職”に任命することで現場を回していましたが、実態はプレイヤー業務に加えて管理業務も担う“名ばかり管理職”状態。わずかな手当で仕事だけが増え、疲弊した社員が「辞めたい」と口にするようになっていました。
そこでまず行ったのは、若手管理職との面談による役割と負担の棚卸し。「今、何を求められていて、何に悩んでいるか」を整理したうえで、部門長とも話し合いの場を設け、管理職に期待する役割や成果を明文化しました。同時に、業務分担や効率化の工夫も行い、「任せる」体制づくりにも着手しました。
取り組みを経て、「自分の役割に集中できるようになった」「無理が減った」との声が現場からも上がるように。管理職に任命することはゴールではなくスタート。期待と実態をすり合わせることで、ようやく“持続可能なマネジメント”が見えてきた事例です。
飲食業を営むK社では、退職が突然知らされるケースが相次ぎ、現場責任者が人員不足に悩まされていました。多忙な現場に加え、創業者主導のトップダウン型の風土もあり、「どうせ話しても変わらない」という諦めが社内に広がっていたのです。
最初に取り組んだのは、「人事の顔を見えるようにすること」。人事メンバーを紹介するパンフレットを作成し、各店舗に配布。あわせて、人事担当者が現場に足を運び、普段から声をかけやすい関係づくりを始めました。形式的な制度ではなく、“話せる相手がいる”という状態を目指したのです。
その結果、退職前に人事へ相談する社員が少しずつ増え、異動や業務調整での対応も可能に。「辞める前に話す」という選択肢が根づきはじめました。関係性は、一気には変わらない。でも、声をかけること・聞くことを積み重ねることで、信頼の種は確かに芽を出していく——そんな手応えのある取り組みでした。
サービス業L社では、数年前から1on1ミーティングを導入していたものの、現場では「意味がない雑談に時間を取られる」と不満が出ていました。インバウンド需要の急増もあり、1on1が“忙しい中で負担になる制度”と受け止められはじめていたのです。
まず会社として、「1on1で何を得たいのか」を再定義。「内にある本音を引き出す対話の場」としての目的を明確にし、その価値を社内で丁寧に共有しました。加えて、現場リーダーには傾聴スキルを高める研修を実施し、ただ聞くのではなく“受け止める”姿勢を意識づけました。さらに、相談内容のうち重大な課題が見つかった場合は、本人の同意を得て正式な対応ルートに乗せる運用ルールも整備。
取り組みの結果、1on1の目的が浸透しはじめ、「相談の質が変わった」「本音が出るようになった」との声も現場から。制度の形だけでなく、“どう使うか”を丁寧に育てていくことの大切さを実感した事例です。
製造業M社では、入社間もない若手社員の離職が続いていました。ヒアリングを重ねると、「怒られるわけじゃないけど、何を期待されているか分からない」「そもそも話しかけづらい」といった声が浮かび上がりました。指導担当者との距離感もうまく取れず、“放置されている”ように感じている若手も少なくありませんでした。
そこで、まずは「今あなたに任せたいこと」を簡潔にまとめたリストを作成し、本人に共有。それを更新するという名目で、定期的にミーティングの時間も設けました。内容は業務の確認だけでなく、雑談も歓迎。あえて形式ばらない場づくりを意識しました。
その結果、「自分が何を任されているか分かって安心した」「話しかけやすくなった」といった前向きな声が増加。Z世代の定着には、“教えること”以上に“伝える工夫”と“つながる仕掛け”が大切なのだと気づかされた事例です。
専門商社N社では、社長と現場責任者との間で意図のすれ違いが起きやすく、会議では一方的な報告が続くだけで、深い議論や相談が行われにくい状態になっていました。現場では「どうせ決まってることだし…」という空気が広がり、発言の機会も限られていたのです。
まず取り組んだのは、会議の目的と進め方の見直し。単なる報告会ではなく、「対話ができる会議」へと再設計しました。事前に議題と論点を整理し、現場側が意見を準備しやすいようにフォーマットを共有。進行も見直し、発言しやすい雰囲気づくりを心がけながら、社長と現場が対等に意見を交わせる場を目指しました。
結果として、現場からの提案や相談が増え、社長からのフィードバックも具体性を増しました。会議が「伝える場」から「考えを交わす場」へと変わることで、組織全体の風通しがよくなった実感のある取り組みでした。
老舗卸売会社O社では、3年ごとに中期経営計画を策定していたものの、全社方針と部門の計画がかみ合わず、内容もバラバラ。計画が“提出するだけの書類”になってしまい、現場との連携や納得感が乏しい状態でした。
この課題に対し、まずは「全社の方針があり、それを部門が受け取って計画する」という順序を明確化。そのうえで、部門ごとの計画フォーマットを統一し、数値目標や重点施策、課題などを整理しやすくしました。また、スケジュールの中に“意見交換の場”を意図的に組み込み、計画づくりの過程自体を対話の時間にしました。さらに、計画の途中段階で「社内プレ発表会」を開催し、他部門や経営陣との対話を通じてブラッシュアップを図る仕組みも導入。
結果として、部門ごとの理解や連携が深まり、「出すだけの計画」から「実行するための計画」へと変化。全社の一体感がじわじわと育っていく手応えを感じるプロセス改革となりました。
